このページは『あいらいふ』掲載内容を転載しています。
『あいらいふ』掲載時と内容が変更になっている場合がありますので、ご了承ください。
最新の情報につきましては、各施設へご確認ください。 |
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ワタミ株式会社 代表取締役社長・CEO
渡邉美樹(わたなべ・みき)
1959年、神奈川県生まれ。小学校5年生のとき、父親が経営する会社を清算したことから「将来、自分が社長になる」ことを決意。
1982年、明治大学商学部を卒業。会社経営に必要な財務・経理を習得するため、経理会社に入る。その後1年間、運送会社で独立資金300万円を貯める。
1984年、有限会社渡美商事を設立。居酒屋チェーン「つぼ八」の店を買い取り、FCオーナーとして起業。
1986年、株式会社ワタミを設立。
1987年、ワタミフードサービス株式会社に社名を変更。
2003年、学校法人郁文館学園の理事長に就任。
2004年、医療法人幸会病院会長に、同年10月日本経団連理事に就任。
2005年、株式会社アールの介護の全株式を取得。同年4月、ワタミ株式会社に社名変更。外食事業は500店舗を展開。 |
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| ワタミグループの経営理念が介護事業にぴったり当てはまる
――なぜ介護事業に取り組もうと思われたのでしょうか? また、そのきっかけは何だったのでしょうか?
以前より、わが国は少子高齢社会という現実を抱えながらも、「お年寄りが安心して老後を迎えられない国」であると感じていました。入院患者は90日を過ぎると、医療費抑制のために退院させられてしまいます。そのために、具合の悪いまま家族のもとに帰ってきたお年寄りが十分な介護を受けられなかったり、介護疲れの家族との折り合いが悪くなって不自由な生活を強いられたりしてしまうことが多いというのが実情です。それならば、お年寄りにとって「居心地のよい」施設介護を提供することが今、最も重要なテーマなのではないかと思うようになりました。 ――実際に介護事業に取り組まれて、戸惑いなどはありませんでしたか?
まったく、ありませんでしたね。そもそも介護事業は、ワタミグループの事業活動と共通点が多いんですよ。これまで私どもは、@食事AサービスB施設メンテナンスに関して、徹底的に力を入れてきました。このことは、介護事業を行う上でも、ぴったりと当てはまるものと考えています。
お年寄りに「楽しみにしていることは何ですか?」と聞きますと、大半の方が「食事」と答えます。この部分は、ワタミグループが最も得意とする分野です。まず、仕入れのスケールメリットを生かして、同じ予算でより良質の材料を使用することができます。また、自社の農場(=ワタミファーム)で栽培している有機野菜などを使い、安全かつ安心、そして季節感のある献立を提供できることも魅力のひとつといえるでしょう。
サービスについては、これまで培った経験をもとに、より効率よく、より質の高いサービスを行うためのノウハウや接客への考え方などを収めたワークスケジュールを持っています。私どもは、「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」というスローガンのもとに歩んできました。かつて外食産業で「お客さまだけのための店」を掲げたように、介護事業では「ご入居者さまの幸せのためだけにあるホーム」「ご入居者さまの生命に寄り添う介護」を目指しています。その中で、「ワタミの介護があってよかった」と心から思っていただけるようなサービスを提供できると考えています。
また、施設内は、常に清潔感あふれる場所であることも大切です。もちろん、この点でも自信があります。特に食事の管理については、厳重な衛生チェックのもとで「細菌ゼロ」に限りなく近い状態を保っています。ですから、「その日の朝に漁港で仕入れた魚を、夕食で刺身として出す」ということもできるわけです。従来の介護施設ではご法度といわれる行為なのですが、ワタミにとっては壁になりませんでした。以上のことからも、介護事業は私にとって、さらに大きなビジョンを追うことのできる事業だと確信しています。 |

ワタミファームでは、有機野菜を栽培し、「安全で安心なおいしい野菜」をお届けしています |
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| 従来の介護事業における最大の欠点は「福祉ゆえの甘え」にあると指摘
――これまでの介護事業の実態を見て、どのように感じられましたか?
介護というものが、福祉の上に成り立っているせいなのでしょうか!?率直にいって、「福祉ゆえの甘え」があると感じました。
私がこれまで訪問したほかの介護施設では、けっしておいしくない食事を食卓に出していました。そのほかのサービスについても、「この程度のものでいいだろう」と勝手に線を引いているように思えました。
長年の間、ある基準を越えれば、それ以上の工夫はいらないという意識の下に置かれてきたのでしょう。その理由は、@まずくて食べられないA一定時間がくるとすぐにお膳を引き上げられてゆっくりと食べられない、からなのです。食事はほとんどがつくり置き、ご飯は30?40分前からよそわれています。味付けについても栄養だけを意識したお粗末なもので、本当に心が痛みます。
また、いまだに施設では、認知症や徘徊などの方について、ベッドでの「拘束」が行われているところがあると聞きます。これでは人としてのプライバシーが損なわれ、人間らしい生活環境は保てません。あらゆる面でスタッフの効率が最優先となっており、「ご入居者さまのため」という視点ではほとんど機能していないように思われました。
ワタミグループにはサービスマニュアルというものがありません。常にお客さまの立場で物事をとらえ、お客さまが気持ちいいと思うサービスを、各自が自分で考え実行するよう指導してきました。
「アールの介護」のスタッフたちには、「自分の親をお世話していると思って接しなさい」と伝えています。今後も定期的に私自らの講義を行って、ワタミの経営理念が根付くよう教育にも力を注いでいきたいと思います。
――介護事業を始めてから、この業界によって学んだことはありましたか?
このような中でも、ひたすら純粋に介護に取り組み、常に問題意識を持って環境の向上に努力されている方々がいらっしゃることを知りました。主に介護に携わって30?40年になる、60?65歳くらいの女性たちですが、私がこの事業を始めてからというもの、ご自分の休暇の時間を割いて、わざわざ訪ねてきてくださるようになりました。そして、現場の問題点をお話してくださったり、その解決法として具体的にどうするべきなのかを伝えてくださいます。
また、「渡邉社長ならきっとやれる」と期待してくださることが、私の元気の素となっていることも事実です。
このような方々が存在する限り、「日本の将来は明るい」とあらためて感じましたね。 |
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| 価格破壊への挑戦!2020年には1000棟を実現
――渡邉社長は何かを始めるときに、それを達成する期日を「前もって書き込む」そうですが、介護事業に関して記されていることはありますか?
2020年に、施設数を1000棟にする――これが未来予想図です。そのころには、低価格でさらに「おいしい食事」「サービスクオリティの高い介護」が約束されるような時代にしたいと思っています。ワタミグループには、これまでの経験から成し得た@よい物件を探すA安く店をつくることができるB施設メンテナンスを充実させる、といった強みがあります。目下は強みを生かして「どこまで値段を下げられるか」が焦点となるでしょう。2020年には、介護の対象者が約70万人になるといわれています。その1割の人々を「アールの介護」で確保できれば、全施設に影響を及ぼすことができると考えています。つまり、価格破壊を実現したいのです。私はごく平均的な世帯の方の持つ貯金額(=300万円)くらいの一時金で、「自分の親にしてあげたい」と思えるような、現在ハイグレードとされている数千万円クラスのサービスを提供しようと考えています。また、月々の支払額は、厚生年金でやっていける17万円程度に抑えていく覚悟でいます。サービス内容についても、足マッサージや温泉など、ご入居者さまがより快適に過ごしていただけることを取り入れていきたいと思っています。もちろん、サービスを充実させた分の料金を引き上げるつもりはありません。
――介護事業は、渡邉社長にとってどのような意味を持つのでしょうか?
あるご入居者さまに「これだけがんばってサービスを向上させて、何がおまえの得になるんだ?」といわれたことがありました。
私はいつも「どうやって親孝行をしようか」という気持ちで、施設介護に取り組んでいます。ただ、ご入居者さまの「喜んでくださる」姿を見たいのです。そのためのサービスの追求は、当然のことだと思います。また、「サービスを増やすごとに、追加料金を上乗せしていく」介護は本来の介護とはいえないというのが、私の持論です。
人生の最後のステージを私どもの手に託してくださるご入居者さまに、感謝と尊敬をこめてお世話をさせていただくことに今、幸せを感じています。人生は「自分が成長するため」に存在するものだと思います。多くのお年寄りからたくさんのことを学び、人として成長することのできる機会を数多く与えられていることが、素直にうれしい! また、人生の先輩から発せられる「ありがとう」の言葉には、言い知れぬ重みを感じますね。
介護事業はこれまでの事業の結果、たどりついた事業であり、まさに私にとっては「天職」であると実感しています。 |